大国主神(おおくにぬしのかみ)

【数々の試練を経て大いなる国土の王、国つ神の総元締】

概要
八百万の神々の中でも人気である大国主神は、島根県出雲大社に鎮座する縁結びの神としても知られる。優馬栄な「因幡の白兎」の話しの主役、あるいは七福神の大黒様としてそのねをイメージする人も多いだろうが、「古事記」「日本書紀」の出雲神話では、国土の支配者で国つ神の走元締みたいな存在として大活躍する。

大国主神はスサノオ尊の六世の孫(記事岐)とも、御子または七世の孫(日本書紀)ともいわれ、因幡の白兎を助け、兄弟の八十神(やそがみ)にいじめられたり、根の国でスサノオに数々の試練を与えられたりして、未熟な青年がから国土の支配者へと成長した。

そして、スクナヒコナ命と一緒に全国を巡って国土の修理や保護、農業技術の指導、温泉の開発や病期治療、医療の普及、禁厭(まじない)の法を制定、といった数々の事業を行った。その後天孫ニニギノ尊(天照大神の孫)の地上への降臨に先立って、天つ神の命で国土統治権を譲り渡し(国譲り)多芸志の小浜に造営された広大な宮殿(出雲大社)に隠れ住んで幽冥(かくれごと:見えざる霊的世界)を主宰したという。

これらのように大国主神は大いなる国土の王にふさわしい活動をしたことが、神話伝承の中で伝えられている。また、この神は多くの名称があり、八百万の神々の中でも、これほど多い神はいない。名前が多いというのは、それだけ多様な性格を持ち、霊的なパワーもより強力であるともいえる。

「大国主」とは大いなる国の王、すなわち出雲を治める大王を意味し、別名の大己貴(大穴牟遅:おおなむち)の「チ」は、自然神的霊威のあらわれる音で「地」を意味し「大地の神」を表す。また国玉(魂)は国土の霊魂、大物主の「モノ」は霊威・霊格のことで強力な霊格を称える名、また醜男の「シコ」葦原のように野性的で力強い男の意味で、、また八千矛は武力、軍事力を象徴している。

このうち一つの呼称として統一されたのが「大国主」であることが定説になっている。その媒介役を果たしたのが、出雲地方の大国主神を崇拝する呪術的霊能力集団、つまり巫女集団ではないかと考えられている。なお、各地の神社にはオオナムチ命の名で祀られていることが多い。その理由は「風土記」の中に残されたこの神名の足跡から推察でき、各地の土着の信仰と結びつきの強さが、祭神名に反映されているのである。

また、大国主神が縁結びの神としても人気があるのは、すこぶるつきの美男というイメージと大変な艶福家(多くの女性に愛され慕われる男性)であるということころです。「日本書紀」の一書に「その御子すべて一百八十一(ももやそはしらあまりひとはしら)の神ます」とあり、その精力たるや見事なものである。

いってみれば多淫、多産な愛欲神といってもいいくらいで、縁結びの神としても祀られるのも当然である。さらにいえば、艶福は豊穣神としての霊力の象徴なのである。

別名・別称
大國主大神 、大穴牟遅神(おおなむぢ)、大穴持命(おおあなもち)、大己貴命(おほなむち)、大汝命(おほなむち「播磨国風土記」)、大名持神(おおなもち)、国作大己貴命(くにつくりおほなむち)、八千矛神(やちほこ)、葦原醜男、葦原色許男神(あしはらしこを) 大物主神(おおものぬし)、大國魂大神(おほくにたま)、顕国玉神、宇都志国玉神(うつしくにたま)、伊和大神(いわおほかみ)伊和神社主神(「播磨国風土記)、所造天下大神(あめのしたつくらししおほかみ「出雲国風土記)、幽冥主宰大神 (かくりごとしろしめすおおかみ)、杵築大神(きづきのおおかみ)など

神格
国造りの神(文化神)、農業神、商業神、医療神、縁結びの神
性別
男神
神徳
縁結び、子授けの神、夫婦和合、五穀豊穣、養蚕守護、医薬、病気平癒、産業開発、交通、航海守護、商売繁盛など
備考
大国主神は、中世以降インド生まれの仏教の守護神の大黒天と習合し、「ダイコクさま」と呼ばれるようになり、のちに民間信仰の七福神のなかの大黒様と同一視されるようになった。

大黒様は五穀豊穣の神であると同時に商売繁盛の福の神として信仰されている。その大黒様の使いは、ネズミ(十二支の子)とされ、これは大国主神が根の国でスサノオに試練を与えられた際に、ネズミに助けられた神話と、ネズミを屋敷を守る霊獣とする民俗信仰が結びついたものと考えられる。

大国主神を祀る子神社(根神社:ねのじんじゃ)が多く分布するのも、霊獣のネズミとの結びつきからきたものと考えられる。

神社

出雲大社(島根県簸川郡大社町杵築:大社系神社の総本社)

大神神社(おおみわじんじゃ:奈良県桜井市三輪町)

大和神社(奈良県天理市新泉町)

大洗磯前神社(おおあらいいそざきじんじゃ:茨城県東茨木郡大洗町)

酒列磯前神社酒列磯前神社(さかつらいそざきじんじゃ:茨城県磯崎町)

井楯兵主神社(いだてひょうずじんじゃ:兵庫県姫路市本町)

金比羅宮(香川県仲多度郡琴平町)

気多神社(石川県羽咋し寺家町)

北海道神宮(札幌市中央区宮ヶ丘)

氷川神社(埼玉県さいたま市高鼻町)

日吉大社西本宮(滋賀県大津市坂本)

・伊和神社(兵庫県穴栗郡一宮町)

都農神社(つのうじんじゃ:宮崎県児湯郡都農町川北)

・その他全国に出雲、伊豆毛、出雲伊波比、出雲大神宮、大己貴、大穴牟遅、大穴持、大御和、兵主、子神社と呼ばれる神社

など。

コメントを残す

  上へ参る

ツールバーへスキップ